まんぼうひまなし

たまちょこと山本宏文の いま伝えたいこと。

鎌倉幕府は産鉄民が作った!?ーその2-

キーワード①

「かなくそ」

Kanakuso

 鉄づくりのことを一般的には「製鉄」と呼ばれています。しかし、この「製鉄」が「精錬」と「鍛冶」が区別されずに説明がなされている例をしばしば見かけます。特に鎌倉周辺では武具の生産拠点という見解が多く見られます。

 「精錬」は日本では「たたら製鉄」とも呼ばれ、たたらという製錬炉を使って砂鉄と木炭を原料に鉄を生産する(最高品質の鉄を玉鋼(たまはがね)と呼び、日本刀を作るための原材料として使われた)ことを指しています。

「鍛冶」はたたら製鉄で作られた鉄を加工して武器や農機具を生産する事を指しているのです。

 表題の「かなくそ」ですが、漢字では「金屎」考古学での遺物名としては「鉱滓(鉄滓)」と呼ばれています。たたら製鉄では炉の中に砂鉄と炭を交互に投入し、ふいごにより空気を入れ続け、炉内を800度から1200度にすることで砂鉄の酸化鉄が還元されて鉄となって炉底に生成されるのですが、その際に排出される不純物が「鉱滓」です。製鉄遺跡からは「炉壁」も出土していますがこれも不純物として廃棄されるために「鉱滓」「炉壁」が遺跡から同時に出土することがおおくあります。

 一般的には二つとも「金屎」と呼ばれ、大量に出土します。「鍛冶」でも「金屎」は排出されますが「精錬」時に出るものより少量でかつ軽量です。後述しますが「かねさは」地域で出土する「金屎」はほとんどが「精錬」つまりたたら製鉄操業時に排出されたものであると私は考えています。

01 (上郷深田遺跡操業想像図 上郷深田遺跡を守る会パンフレットより)

釜利谷地区センターで保管展示されている「金くそ」が現物となります。かねさはの円海山(長野山)山中から「金くそ」が大量に出土?しています。この地域を「製鉄コンビナート」よぶ研究者もいます。

キーワード② 「小柴層」に続きます

コメント

コメントを投稿

  • 名前

  • メールアドレス

  • URL:

  • コメント: