まんぼうひまなし

たまちょこと山本宏文の いま伝えたいこと。

窮地が促す学び改革

日経新聞にグローバルな視点から書かれた学校教育に関する記事が載っていたのでご紹介まで。

  教室から消えた13億人 日本経済新聞5月11日朝刊1面「コロナ出口はみえるか 4」

「多くの生徒らの学習が遅れている。学校再開の決定は簡単ではないが対応を急ぐべきだ」。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)のアズレ事務局長が4月の末、声明で訴えた。新型コロナウイルス対策の全国的な休校は177カ国・市域で続き、全世界の72%、約13億人が登校できていない。
 
 学力格差への懸念が各国で強まる。11日から段階的に学校を再開するフランスのプランケートル教育相は「休校を続けすぎると(自宅の学習環境の違いで)格差を助長する」と強調。小学校は1学級15人以下とし、構内の動線を決め接触を減らすなどして感染を防ぐ。
 
 オンライン(遠隔)授業が広がる米国では、インターネット環境が整わない家庭の子どもの学習支援で官民が連携する。カリフォルニア州はグーグルからパソコンを4千台の提供を受け、生徒に配った。中国でもオンライン会議システムを使った授業が拡大中だ。ネット通販大手、アリババ集団のシステムの利用実績は約14万校、1億2千万人の規模に上る。
 
 4月22日時点での小中の95%、高校の97%が休校していた日本。自宅学習は紙の教材が中心で、公立小中学校などやく2万5千校の95%は同時双方向のオンライン指導ができていない。
 「子どもの勉強習慣がなくなってしまった。」。夫と共働きの東京都内の女性(40)は焦りを募らせる。小5の次男が通う公立小は2週間に1度、宿題の進み具合を報告させるだけ。一方私立中に通う長男は遠隔学習で以前と同じ時間割で勉強を続けている。

 足踏みの背景には教育のデジタル化の遅れがある。経済協力機構(OECD)の2018年調査によると日本の15歳生徒の8割が学校でデジタル機器を利用していない。学校の情報化を怠ってきたツケが出た形だ。

 出口に向けては重層的な戦略が要る。感染予防を徹底しての学校再開と休校に備えた遠隔学習環境の整備は不可欠だ。

 政府内では学習の遅れを取り戻し、学事暦を国際標準に合わせる策として「9月入学・始業」の論点整理も進む。移行には課題もあるが、社会全体でグローバル化に向けた方策を抜本的に議論する好機だ。

 米ブルッキングス研究所などは学校や大学の4ヶ月間の休校により、若者の生涯収入減少などを通じで米国が将来的に被る経済損失が。2.5兆ドル(250兆円)、年間国内総生産(GDP)の12%に上ると試算する。

 各国はこうした事情を懸念し、教育の再構築を進める。韓国は休校中、小中高生に情報端末など28万3千台を貸与。低所得世帯の約17万人にはネット通信費を支援した。緊縮財政予算で教育
予算を削ってきたイタリアも遠隔教育の推進に8500万ユーロ(97億円)の予算を確保した。「危機をチャンスに変えたい」とアゾリーナ教育相。日本も社会総がかりで学びの保障に取り組む覚悟が要る。

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