まんぼうひまなし

たまちょこと山本宏文の いま伝えたいこと。

学校が抱えてしまった負債

 このまま文科省の指示に従えば現場の学校は地獄を見ることになる。

おはようございます。山本宏文です。変なタイトルですが最後までお付き合い頂けると嬉しいです。

まずは、ヤフコメの書き込みから。


ssy***** | 4時間前学校教育をすすめるために………
①道徳、総合、小学校の英語やプログラミングを今年度はしない。
②教科の内容を本当に必要な部分だけに精選する。
③学活は、必要な分(各学校で検討)を行なう。人権教育、性教育はしない。進路指導は最低限は行なう。
④評価についての方針を示す。
⑤行事は縮小や精選して行なう(各学校で検討)。
⑥夏休みは最低20日は確保。土曜授業は最高5回まで。
⑦受験範囲を全国で統一する。
⑧教員の研修削減や免許更新などへの対策。
その他にも、有効な方法があるかもしれません。
分散登校しながら3蜜を避ける。けれど教育課程は進める。この相反することを同時に行うならば、上記のような対策がなければ物理的に精神的に無理です。逆に、上記のような対策があれば、子どもたちも教員も頑張れると思います。
子どもたちや教員の命を最優先に考えながら、文部科学省が早く方針を示すべきです。

 15日のヤフコメにのっていたコメントです。恐らく現場の教員の書き込みだと思うのですが、前向きさが、秀逸だと思ったのでここに掲載させて戴きました。
 さて、これからが本日のテクストになりますが、かなり長文(通達本文をコピーしたので)になります。かつ、結論はヤフコメのような前向きさが微塵もありません。もし、よろしかったらお付き合いください。

 15日の文科省の通達の内容については新聞報道の範疇で「文科相関係者って誰?」のテクストの中では小学校6年性と中学校3年性は現在の指導内用を年内に完遂する。それ以外の学年は来年度以降に内容を繰り越しても良いというものでしたが、通達の本文が発表されたので改めてテクストを起こすことにします。この通達は今後の学校教育の方向性を位置付ける(後世においてそう見られる)ものだと思うので、少し詳しくまとめたい。

通達のタイトルは
『新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動の実施における「学びの保障」の方向性について』
 
 前文で、「各取組に関する詳細については、調整が整ったものから今後随時お知らせをしてまいります」との但し書きがあり、戦力の逐次投入という文言がまた頭に浮かんだ。


以下、下線部分を抜書きする(あまりにも下線が多いので2以下は全文を載せました。)

1.新型コロナウイルス感染症対策を徹底したうえでの「学びの保障」

 学校・家庭・地域が連携し、あらゆる手段で、子供たちを誰一人取り残 すことなく、最大限に学びを保障するという観点に立って対応していくことが大切である。

 柔軟な対応が可能となるよう、ICT 環境の整備も含めた準備を進めておくことが必要である。

 5月4日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議において提 言された「新しい生活様式」を踏まえ、学校教育活動の実施に当たり必要な措 置を講じることが重要である。

 虐待を受けている子供をはじめとする要保護児童等、特 に配慮を要する子供たちについては登校させたりするなどきめ細かな対応の ための工夫を行うこと。


2.子供たちの「学びの保障」のための教育活動について

 学校においては家庭における学習の支援を最大限行う

 感染防止を徹底したうえで分 散登校などの可能な限りの工夫を行い、子供たちの「学びの保障」に努めるこ とが必要である。

 学校教育は、教師から児童生徒への対面指導、児童生徒同士の関わり合い等 を通じて行われるもの

 教師が児童生徒の日々の状況を丁寧に把握し、学習の歩みを止め ることのないよう支援することが必要である。

 児童生徒同士がお互いに 励まし合いながら成長していけるよう、学校内外で様々な工夫を凝らして協働的な学びを実現していくことが重要である。

その際には、新学習指導要領の 趣旨に則り、以下の基本的な考え方に基づき教育課程を編成し、学校教育活動 を実施することが必要である。(以下は下線だらけなので全文載せます)

○ 学習指導要領に規定されている「何ができるようになるか」(育成を目 指す資質・能力)を意識した上で、「何を 
 学ぶか」(指導すべき内容)を明 確化し、今般の事態を受けた様々な環境変化を踏まえて「どのように学ぶ か」(指
 導方法)を柔軟に見直すこと。
○ その際、知・徳・体にわたる「生きる力」を子供たちに育むために、各 教科等を通じて「知識及び技能」、「思
 考力、判断力、表現力等」、「学びに 向かう力、人間性等」をバランスよく育成するものとすること。また、「 
 主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた指導方法の工夫・改善を図るこ と。
○ 学校全体として、地域の状況や児童生徒一人一人の状況を丁寧に把握し、 教科等横断的な視点で児童生徒の学校
 生活の充実を図れるよう、教育活動 や時間の配分等を検討するとともに、地域や家庭の協力も得て児童生徒の 学
 習の効果を最大化できるようカリキュラム・マネジメントを行うこととし、各自治体や国がその取組を最大限支 
 援すること。
要するに今までどおりにやりなさい。ってこと?
さらに
 上に示した基本的な考え方を踏まえて子供たちの学びを保障していくため、 具体的な教育課程編成のための工夫を以下のとおり示すので、各設置者・学校 においては地域や学校、子供たちの実情に応じ、これらを参考に必要な手段を 組み合わせて教育活動を実施いただきたい。
 その際、地域や家庭に対しても丁寧に説明を行い、子供たちの「学びの保障」 のための取組方針について十分に認識の共有を図ることが重要であること。

1)登校日の設定等による学校での指導の充実
 学校教育は、教師から児童生徒への対面指導、児童生徒同士の関わり合い等 を通じて行われるものであり、新型コロナウイルス感染症の影響がある中に おいても、その趣旨を踏まえて、感染拡大防止に十分配慮しながら、教師が 様々な工夫を行いつつ、学校における指導を充実させることが必要である。
 具体的には、地域の感染状況や児童生徒・教職員の負担を勘案しつつ、臨時 休業期間中も登校日を設ける、学校の空き教室や社会教育施設等も最大限活 用して分散登校を実施するなどして、学校での指導を充実させることが考えられる。また、例えば1コマを 40 分や 45 分に短くしたうえでの一日当たり の授業コマ数の増加等の時間割編成の工夫や長期休業期間の短縮、土曜日の 活用、学校行事の重点化や準備時間の縮減等の様々な工夫により、学校における指導を進めることも考えられる。
 その際には、学習指導通知4.に示したとおり、新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業により、学校教育法施行規則に定める標準授業時数を踏まえて編成した教育課程の授業時数を下回ったことのみをもって、学校教育法施行規則に反するものとはされないとされていることも踏まえ、児童生徒や教職員の負担軽減にも配慮すること。
 また、感染症対策として分散登校を行う際には、進路の指導の配慮が必要な 最終学年(小学校第6学年・中学校第3学年等)の児童生徒が優先的に学習活動を開始できるよう配慮すること。併せて、最終学年以外の指導においては、 教師による対面での学習支援が特に求められる小学校第1学年の児童にも配慮すること。
 なお、高等学校等においても、進学や就職を控えた高等学校第3学年の生徒 等に配慮するなど、生徒の発達段階や多様な学校の実態を踏まえつつ、同等の 対応を検討すること。
※今後、文部科学省において人的・物的体制整備を含む取組を示す予定。

 「必要」、「考えられる」、「配慮する」、「検討する」など現場に丸投げの言葉が続きました。

(2)年度当初予定していた内容の指導を本年度中に終えることが困難な場合の対応(ここも原文掲載)

 新型コロナウイルス感染症の影響により、上記のとおり各種の取組を行い 学校における指導を充実したとしても、なお年度当初予定していた内容の指導を本年度中に終えることが困難である場合には、各種の取組に加えて以下 のような特例的な対応をとることにより、子供たちの「学びの保障」を進めて いくことも考えられる。その際には以下の特例的な対応は上記の各種の取組を行った上での補完的な取組となるよう留意すること。
① 次年度以降を見通した教育課程編成
 今年度在籍している最終学年以外の児童生徒(小学校第1学年から第5 学年まで、中学校第1学年・第2学年、高等学校第1学年・第2学年等)に 係る教育課程に関する特例的な対応として、各学校において本年度指導を計画している内容について学年内に指導が終えられるように努めても、なお臨時休業及び分散登校の長期化などにより指導を終えることが難しい場合には、学校教育が協働的な学び合いの中で行われる特質を持つことに鑑み、学校行事等も含めた学校教育ならではの学びを大事にしながら教育活動を進めていくことが大切であること等を踏まえ、令和3年度又は令和4 年度までの教育課程を見通して検討を行い、学習指導要領において指導する学年が規定されている内容を含め、次学年又は次々学年に移して教育課程を編成する。
※今後、文部科学省において上記特例的な対応を可能とするために必要な 制度的措置を講じるともに、義務教育段階については、教科書発行者と協力して参考資料の提供を行う予定。
② 学校の授業における学習活動の重点化
 臨時休業及び分散登校の長期化などにより学校の授業における通常の学習活動で指導を終えることが困難な場合の特例的な対応として、学習指導要領に定める内容が効果的に指導できるよう、個人でも実施可能な学習活動の一部を ICT 等を活用して授業以外の場において行うことなどにより、学校の授業において行う学習活動を、教師と児童生徒の関わり合いや児童生徒同士の関わり合いが特に重要な学習への動機付けや協働学習、学校でしか実施できない実習等に重点化する。
 授業以外の場において行うこととする学習活動については、ICT の活用を含む多様な学習活動を学校の指導計画に位置付け、学習指導員の活用や地域・家庭等との連携も図ることにより、指導の充実を図り、その状況・成果 を丁寧に把握する。また、内容の定着が不十分な児童生徒に対しては個別に指導を行う。
なお、児童生徒が密集して長時間活動する学習活動等、感染症対策を講じてもなお感染の可能性が高い学習活動については、指導順序の変更や教師 による適切な事前・事後指導と授業以外の場における学習の組合せによる指導計画の立案など、各教科等の指導計画を見直し、必要な措置を講じる。
※今後、文部科学省において人的・物的体制整備を含む取組を示すとともに、 義務教育段階については、文部科学省と教科書発行者が協力し、各教科等の留意事項や具体的な活動例等の参考資料を示す予定。
 既に述べたとおり、①及び②の取組については、学校における指導の充実を最大限図ったうえで、なお本年度中に予定していた内容の指導が終わらない場合の補完的な取組であることに留意すること。

 補完的ということはやはり、今年度の学習指導課程は全部やりなさいということなのですね。できないとわかっていてもやりなさいというのは戦時中のスローガンを彷彿させます。

(3)ICT の活用による学びの保障
 (2)2における ICT の活用においては、文部科学省のホームページ等で紹介している事例やコンテンツ等も参考にして学習の充実に努めること。そのためには全ての児童生徒が家庭において ICT を活用可能な環境とする必要があることから、以下の内容に取り組むこと。
○ 一人一台端末など学校における ICT 環境が十分整っている場合は、それらを全ての児童生徒が家庭でも最大限活
 用できるように工夫すること。
○ 学校の環境のみで全ての児童生徒の ICT 環境が対応できない場合には、 家庭や学校にあるあらゆる機器や環境
 を最大限活用すること。そのために、学校において、児童生徒の家庭におけるインターネット通信等の ICT 環境
 を早急に把握すること。
○ そのうえで、経済的理由等で ICT 環境を準備できない家庭に対しては、 学校が最大限の支援を行うこと。そのた
 めに、令和元年度補正予算、令和 2年度補正予算における端末や通信機器整備支援も活用し、必要最低限のICT
 環境整備を急ぐこと。なお、令和元年度補正予算による公立学校への端末整備については、「公立学校情報機器 
 整備費補助金(1人1台端末 の整備)の執行について」(令和2年4月 30 日付け初等中等教育局情報教 育・外国語教 
 育課事務連絡)においてお示しした通り、緊急事態宣言が出された翌日以降に、緊急性からやむをえず契約したも
 のについて、補助金の対象であれば今後の交付決定において遡って補助対象とするので、速やかに手続を進めて
 頂きたいこと。

「経済的理由等で ICT 環境を準備できない家庭に対しては、学校が最大限の支援を行うこと」出ました現場に丸投げ。なぜ、政府が支援しないのか?10万円でできるだろうに。

最後に忘れていけない教育委員会への釘刺し

(4)教育委員会等による支援
 各設置者において各学校の教育活動に対する支援を行う。また、各都道府県 教育委員会、各都道府県私立学校主管部課及び小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第 12 条第1項の認定を受けた各地方 公共団体担当課等においても域内の設置者への支援を行う。なお、各都道府県私立学校主管部課及び小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第 12 条第1項の認定を受けた各地方公共団体担当課においては、必要に応じて、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和 31 年法 律第 162 号)第 27 条の5による学校教育に関する専門的事項についての助言又は援助等を活用し、各都道府県教育委員会等と連携すること。
※今後、文部科学省において教育課程の編成・実施に関する助言を行う取組を進める予定。
支援という名の一律強制?

 3. 取組実施に向けた人的・物的体制の整備
 2.に示す方向性に基づく取組を進めていくため、特に以下に示す事業を積極的に活用いただくとともに、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金について」(令和2年5月7日付け初等中等教育局事務連絡)も参照さ れたいこと。また、政府においては令和2年度第2次補正予算案の編成に着手したところであり、今後、追加の財政措置についても適宜情報提供を行っていく予定であること。
<令和元年度補正予算>
・端末や校内通信ネットワーク等の整備(GIGA スクール構想の実現)
<令和2年度補正予算(第1号)>
・端末や LTE 通信機器(モバイルルータなど)等の整備(GIGA スクール構想の加速による学びの保障) ・学習指導員の追加配置(補習等のための指導員等派遣事業) ・学校再開に必要な衛生関係経費の支援(学校保健特別対策事業費補助金)

まあ、弱小省庁の文科省ができる予算措置はこんなものでしょう。(GIGAスクール構想の前倒しで予算が転がり込んできたのがよっぽど嬉かったようですね。)

 4.高等学校入学者選抜等への対応
 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた高等学校入学者選抜等の実施 に当たっては、「中学校等の臨時休業の実施等を踏まえた令和3年度高等学校入学者選抜等における配慮事項について」(令和2年5月 13 日付け2文科初 第 241 号初等中等教育局長通知)において示した事項に配慮して実施するこ と。

 途中途中でコメント(太字の部分)を挟ませて頂いたが、私には、「休校という事でつくられた借金(子供たちに学習サービスを行えなかった負債)は死ぬほど頑張って今年度中に完済しなさい。もし出来なかったら来年度以降分割払いで完済しなさい。」と言っているようにしか見えないのです。今年度中にこの負債が返せないのは現場をそして今後の教育活動を想像すれば、明白です。全国一律に負債の額を圧縮して(学習課程の精選、内容の見直し)現場の負担を軽減させないと、現場は借金地獄に見舞われます。返せる当ての無い借金を背負わされているようなものです。現場の先生にもこの3ヶ月で「負債」を負ってしまったんだという意識と言うか感覚があって欲しいです。最初に「地獄を見る」と言ったのはちょっと言い過ぎでした。負債の額を圧縮して今年度中に返済を目指すべきだと思います。
 報告だけでも長いのに、また余計な事まで書いて、こんな長文になってしまいました。ここまで、お付き合いいただきましてありがとうございました。

 突然ですが、これにて教育に関する論考をやめます。ずーと止めるかどうかは未定ですが、このままだと家庭不和が拡大していきそうなので、ひとまず退散します。そんなこと言ったって現場はみんながんばってるのよ。って。元々コロナ前にはある事件に遭遇して、もう学校と関わるのはやめようと心に誓っていた自分でした。ところが、コロナショックから現場の先生の元気がなくなっていた事、早い段階で何とか子どもたちと繋がる手段を見つけないといけないといった勝手な思い込みからまた関わってしましました。まあ、僕が騒いだことでちょこっとでも子どもたちのためになっていたらならば幸せです。
それでは。

コメント

  1. いましゅん

    2020年5月17日 (日) 13:25

    様々な視点から鋭く教育を論じるところが面白かったです。たまちょから話をもらって行動を起こしたのは事実だからね!発信するのは自由。受け手がどう思うかじゃない?ありがとうございました😊

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